メトトレキサートの代替療法?
Nature Reviews Rheumatology
2009年9月1日
An alternative to methotrexate?
関節リウマチ(RA)において、シクロオキシゲナーゼ2阻害薬のメタンスルホンアニリドファミリーのメンバーであるT-614の1日1回経口投与が、メトトレキサート週1回投与の代替療法となる可能性がある。日本および中国における安全性研究により成果が得られたことを受けて、中国における12センターのRA患者を対象に、T-614の疾患修飾療法としての可能性が最近検討された。
Luらは、RA患者489例を無作為に3つの群に割り付けた。各群の内訳は、T-614 25mg/日を4週間投与後にT-614 50mg/日を20週間投与する群、試験期間の24週間をとおしてT-614 50mg/日を投与する群、メトトレキサート10mg/週を4週間投与後にメトトレキサート15mg/週を20週間投与する群であった。メトトレキサートを含むDMARDの使用歴は適格とされたが、試験開始前4週間にメトトレキサート投与が中止されている場合に限った。しかし、反応が不十分または毒性作用を理由に15mg以上/週のメトトレキサート投与を中止した患者については除外した。著者らは、この除外基準により結果にバイアスがかかった可能性を認めているが、本試験の患者の大部分は10mg未満/週のメトトレキサー トの投与歴があり、その他のDMARD療法を経験していた患者は15%にすぎなかった。したがって、著者らは、「本試験の除外基準により、T-614自体の有効性および安全性が誇張されることはなく、代わりにT-614のメトトレキサートに対する非劣性の証明はより難しいものとなった」と論じている。
24週間の治療後、T-614 50mg/日群およびメトトレキサート群の患者において、米国リウマチ学会の基準における20%改善(ACR20)を達成した患者数は同等であった(63.8% vs. 62.0%.)。ACR50およびACR70を達成した患者数はいずれの群も少なかったが、その数は2群間で同等であった。さらに、リウマトイド因子およびIgA、IgG、IgM濃度が低下したことから、著者らは「T-614の作用機序には、Bリンパ球に対する免疫調節作用が関与する」ことを示唆している。
両群において最も頻度の高かった有害事象として、血漿中のアラニントランスフェラーゼ濃度の上昇が目立つものであったが、T-614 50mg/日群の患者では、この有害事象がメトトレキサート群の患者と比べて大幅に少なかった。T-614投与患者における血漿中の肝酵素濃度の上昇を報告したのはLuらが初めてではなく、肝酵素濃度のモニタリングの必要性が示唆される。さらに、T-614群は、軽度の有害事象(発疹およびアレルギー)発生率がメトトレキサート群に比べて高かったが、メトトレキサート群は、消化管症状の発生率がT-614群より高いことが報告されている。
これらの結果から、T-614の有効性がさらに確認され、T-614がRA治療における現行の「ゴールドスタンダード」の実行可能な代替療法となりうることが示唆される。
doi:10.1038/nrrheum.2009.152
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