全身性エリテマトーデスにおける骨壊死の治療
Nature Reviews Rheumatology
2009年12月1日
Treatment for SLE osteonecrosis
全身性エリテマトーデス(SLE)および大腿骨頭の骨壊死を有する患者50例を対象とした後ろ向き研究の結果により、血管柄付き遊離腓骨移植は股関節機能の維持に有効な選択肢となることが示唆された。
血管柄付き遊離腓骨移植では、大腿骨頭に減圧術を施行し、壊死骨を切除した後、健常な血管柄付き腓骨の形態をとる骨誘導性の海綿骨移植片で切除部分を置き換える必要がある。本試験は、1982年の米国リウマチ学会SLE分類基準を4つ以上満たし、SLEに罹患してから18ヵ月以上経過している患者50例の合計80股関節を対象とした。骨壊死のSteinberg分類により、股関節の病期はstage II~Vに分類された。
最短追跡調査期間である2年( 平均4.3年)後に、Harris股関節スコアの平均値は72から80に上昇し、全4病期すべての患者に改善が認められた。X線撮影により評価したところ、55股関節(68.75%)が改善を示し、20股関節(25%)が変化せず、5股関節(6.25%)は悪化した。手術失敗例はなく、股関節全置換術を施行された患者もいなかった。
著者らは、本研究の患者数が多ければ統計的に有意な結論を導くことが可能であり、また、追跡調査期間が長ければ本骨移植法の寿命が確認できたであろうと認識している。さらに、本試験では、対照群となる代替的な関節温存術は施行されていない。それにもかかわらず、本研究の結果から、SLEと大腿骨頭壊死を有する患者にとって、血管柄付き遊離腓骨移植は、股関節全置換術や骨頭減圧術などの現行の外科的治療選択肢に替わる魅力的な治療法であることが示されている。
doi:10.1038/nrrheum.2009.224
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