骨粗鬆症に対するカテプシンK阻害
Nature Reviews Rheumatology
2010年1月1日
Metabolic bone diseases Cathepsin K inhibition for osteoporosis
低骨密度(BMD)の閉経後女性を対象とした24ヵ月間の試験結果から、odanacatibによりBMDは徐々に増加するが、骨代謝回転に対する影響は中程度にとどまることが示されている。
Odanacatibは、カテプシンKの選択的阻害薬であり、経口で生物学的に利用できる。カテプシンKは破骨細胞で発現する主たるシステインプロテアーゼであり、骨吸収に重要な役割を果たす。カテプシンK阻害薬は、破骨活性を広範に抑制する一般的な他の骨吸収抑制剤と異なり、骨基質の分解における破骨細胞の役割のみを標的とする。
多施設共同第II相POC試験において、年齢45~68歳で低BMDの閉経後女性399例を対象に、プラセボまたはodanacatib 3mg、10mg、25mg、50mgを週1回投与する群に無作為に割り付けた。Odanacatib 10mg、25mg、50mgを週1回投与した群では、腰椎BMDと大腿骨BMDがベースラインと比べて改善し、用量が増えるに従ってBMDが増加した。2年後に、50mg投与群では、腰椎BMDおよび股関節BMDがそれぞれ5.5%と3.2%に増加した。これとは逆に、プラセボ群では、両部位のBMDはベースラインと比べてほとんど変化しなかった(それぞれ、-0.2%と-0.9%)。
Odanacatibの作用機序と一致して、骨リモデリングマーカーの変化はベースラインと比べて中程度であり、用量依存的であった。骨吸収マーカーの減少がみられたが、これはodanacatibの骨吸収抑制効果を反映しており、骨形成マーカーの減少は一過性であった。注目すべきことに、破骨細胞活動性マーカーである酒石酸耐性酸性ホスファターゼ5b(TRAP5b)の濃度は、24ヵ月の時点で治療群とプラセボ群で同等であった。
Odanacatib療法の忍容性は全般に良好であった。有害事象の発生率は、治療群とプラセボ群で同等であり、試験終了間際に32例から採取した骨生検サンプルに異常は認めなかった。
本試験の結果は、odanacatibが骨粗鬆症治療薬としてさらに試験を行う必要性を示唆しており、作用機序が異なるため他の薬剤との併用も可能であるかもしれない。本試験結果に基づき選択したodanacatib 50mg/週を検討する第III相試験の登録が完了し、現在進行中である。
doi:10.1038/nrrheum.2009.250
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