Research Highlights

血清中インフリキシマブ濃度のモニタリングによるRA疾患管理の改善

Nature Reviews Rheumatology

2010年2月1日

Rheumatoid arthritis Monitoring serum concentration of infliximab might improve RA disease control

関節リウマチ(RA)患者において、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬であるインフリキシマブによる治療効果にはばらつきがあるが、少なくともその原因の1つとして、薬物動態の個人差が挙げられる。Mullemanらは、インフリキシマブの用量調節を決定する際に血清中濃度を考慮することにより、RA患者の臨床的疾患活動性のコントロールが改善される可能性があることを示している。

フランスの単一施設において実施された非盲検観察研究では、研究開始前に安定用量のインフリキシマブを投与されていた患者24例が対象とされた。追跡期間中、連続4回の受診時に研究参加者にインフリキシマブ点滴静注をおこなった。各受診時の評価では、臨床評価に加えて、抗インフリキシマブ抗体検査および血清中インフリキシマブ濃度の検査もELISA法を用いて行われた。

初回受診時に、28関節疾患活動性スコア(DAS28)および医師による全般的疾患活動性評価に基づき、4種類の治療戦略のうち1つが選択された。治療戦略は、インフリキシマブの減量、インフリキシマブ用量の維持および別の治療法追加の許容、インフリキシマブの増量、インフリキシマブの投与中止および別の治療法への切り替えの4種類であった。2回目受診時に、これらの4つの選択肢の1つを選択し直したが、その際には疾患活動性のコントロール状態に加えて、1回目に測定した血清中インフリキシマブ濃度のトラフ値も考慮した。

血清中インフリキシマブ濃度に基づき治療法決定を変更したのは、計12例であった(50%)。2回目受診時に7例が増量し、このうち6例はRAコントロールが不十分で、血清 中インフリキシマブ濃度が中程度であるか、低かった。対照的に、1回目受診時にインフリキシマブ増量戦略が選択されたのは、3例のみであった。

インフリキシマブを増量した患者のDAS28スコアは、1回目と3回目の受診の間に大幅に改善した。この改善は受診4回目にも維持された。

特記すべきことに、1回目と4回目の受診時の間では、DAS28スコアおよび血清中インフリキシマブ濃度の変化に逆相関が認められた。

本小規模研究のRA患者は、安定用量のインフリキシマブによる長期療法を受けていたため、その結果の解釈には注意を要するが、血清中インフリキシマブ濃度を考慮することにより、個々の患者の状態に合わせて用量を調節することが可能であり、ひいては疾患活動性のコントロールが改善される可能性が示唆される。

doi:10.1038/nrrheum.2009.271

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