関節リウマチにおけるTNF阻害療法への反応に関連したPTPRC 突然変異
Nature Reviews Rheumatology
2010年6月1日
Genetics PTPRC mutation associated with response to anti-TNF therapy in rheumatoid arthritis
Protein tyrosine phosphatase receptor type C(PTPRC)遺伝子座に特定の突然変異が認められる関節リウマチ(RA)患者は、突然変異が認められない患者よりも、腫瘍壊死因子(TNF)阻害療法への反応が良好である。このJing Cuiらによる多施設共同解析の結果は最終的に、TNF活性を阻害する薬物の有効性が期待できるRA患者特定に対する複合的な遺伝的予測ツールに組み込まれるであろう。「患者集団に合わせた治療の適切な調節に加え、治療への反応のバイオマーカーは、薬物の作用機序に洞察を与え、より効率的な大規模臨床試験に向けたデザイン手法を向上させることになる」と著者らは考えている。
本研究には、インフリキシマブ、エタネルセプト、アダリムマブのそれぞれ投与前の活動性RA患者(それぞれ、625例、502例、156例)の選択基準と治療開始後3~12ヵ月以 内の疾患活動性スコア(DAS28)データを伴う、9つのRA患者コホート(1,283例)のデータを含めた。TNF阻害療法への反応との相関について31のRAリスク対立遺伝子を検討したところ、PTPRC(CD45としても知られる)での、ただ1つの一塩基多型(SNP)が単変量モデル、多変量モデルの両方で反応と有意に関連していた(それぞれ、P 0.0004、P =0.0001)。TNF 阻害療法後には、SNP(rs10919563)の保有と、EULAR改善基準による「good response」との間に相関が認められた。さらに、DAS28のベースラインからの変化もrs10919563の存在と関連していた。
PTPRC SNPがTNF阻害療法への反応に対する信頼できる予測因子であることを示す強力な統計学的エビデンスはあるものの、9つの患者コホート間にばらつきがあるため(研究デザイン、確認基準、追跡期間、人種など)、研究者らは依然としてその結果の解釈に慎重である。「この結果が現実的であることを確証するには結果を再現する必要があり、その後で精密なマッピングを行い、突然変異の機能的影響を理解することが重要である」と本研究の責任者であるRobert Plengeは述べており、さらに「治療への反応に影響を及ぼすその他の突然変異を確認するため、バイアスのないゲノムワイド関連研究が必要である」と指摘している。
doi:10.1038/nrrheum.2010.69
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