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薬物療法:RA治療にレフルノミドの果たす役割はあるのか

Nature Reviews Rheumatology

2010年7月7日

Pharmacotherapy Is there a place for leflunomide in the treatment of RA?

非生物学的DMARDであるレフルノミドは、1998年に関節リウマチ(RA)治療の適応として承認された。それ以降10年以上経過したが、その間に有効性が非常に高い生物学的製剤も登場している。レフルノミド療法の有益性とリスクに関する新たなレビューにより、RAの治療選択肢におけるこの薬剤の役割を明らかに した。

関節リウマチ(RA)の発症機序についての理解が進み、炎症性サイトカインや細胞表面分子に直接作用する分子標的治療が開発された。生物学的製剤はRAを寛解へ導くことがで きるため、RA治療の主軸となっている。非生物学的DMARD(特にレフルノミド)の使用は、腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬の登場以降、急速に減少した。しかし、レフルノミドは、RAに対する使用が承認されてから10年以上経過し、単剤投与や他のDMARDとの併用投与の有効性と安全性に関するデータが蓄積されている。これが今回のAlcornらのレビュー1のテーマとなった。

レフルノミドはRA治療用に開発された唯一の非生物学的DMARDである。イソオキサゾール誘導体であり、活性代謝物であるterifl unomide(以前はA77 1726として知られていた)は、ジヒドロオロト酸デヒドロゲナーゼ(DHODH)およびチロシンキナーゼの阻害薬として作用する。DHODHはピリミジンヌクレオチドのde novo 合成に重要な酵素であり、これは自己反応性T細胞の増殖に必要である。レフルノミドを投与すると、白血球数と炎症性メディエーターの減少がみられる。

レフルノミドの推奨治療用量は20mg/日である。推奨初期負荷投与量である100mg/日・3日間は、有害事象、特に下痢と頭痛を引き起こすため現在は用いられていない1。臨床試験データから、通常用量の半量の連日投与量および100mg/週の週1回投与も有効であることが明らかになっている。

Alcornらのレビューで示されているように、レフルノミド単剤療法の短期有効性および安全性は、プラセボ、メトトレキサート、またはスルファサラジンを対照薬として適切に デザインされた二重盲検無作為化対照試験(RCT)により確立されている。レフルノミドの有効性はプラセボよりも優れていたが、6~12ヵ月後の疾患活動性、身体機能、X線学的な疾患進行に対する有効性は、スルファサラジンと同等であった。しかし2年後の疾患活動性の改善は、レフルノミドのほうがスルファサラジンよりも有意に良好であった。レフルノミドは1件のRCTではメトトレキサートより有効であったが、もう一つのRCTでは有効性が劣っていた。罹患期間が5年未満のRA患者に対しては、メトトレキサートのほうがレフルノミドよりも奏効率が高かった4。レフルノミドの有効性は、5年間の長期にわたって維持されることが明らかになった。

他の非生物学的および生物学的DMARDと併用したレフルノミドの有効性と安全性もレビューされている。レフルノミドとメトトレキサートの併用は、メトトレキサート単剤よりも有効であることが示されているが、レフルノミドとスルファサラジンの併用は、スルファサラジン単剤よりも大幅に良好というわけではなかった。メトトレキサートの代わりにレフルノミドをTNF阻害薬と併用した場合は、有効かつ安全であることが明らかになった。しかし、レフルノミドとTNF阻害薬インフリキシマブの併用はもちろん有効であるが、抗核抗体(ANA)、抗二重鎖DNA(dsDNA)抗体およびループス様症候群の発生率が高いことには注目すべきである。

臨床試験と市販後調査で報告されている、レフルノミド療法でよく認められる有害作用は、消化器症状(下痢、消化不良、悪心、嘔吐、腹痛、口腔潰瘍)、肝酵素濃度上昇、脱毛、皮疹、体重減少、感染症、高血圧である。まれであるが重篤な有害事象は、末梢性ニューロパチー、間質性肺線維症である。Terifl unomideは、動物実験で催奇性を有することが明らかになっているため、妊娠女性に対するレフルノミド投与は禁忌とされている。出産可能な年齢の女性には、レフルノミド投与中は信頼できる避妊法を行うようアドバイスすることが必要である。Terifl unomideの半減期は長いため、妊娠を望む患者には、レフルノミド投与中止後2年以上は受胎しないようにするか、コレスチラミンか活性炭を用いた11日間のウォッシュアウトを行うべきである。最近の研究によれば、レフルノミド投与を受けた妊娠RA患者64例(95.3%がコレスチラミンを用いたウォッシュアウトを行った)の出産結果を、レフルノミド投与を受けなかった妊娠RA患者108例および健常な妊娠対照者78例と比較したところ、統計学的な有意差は認められなかった。 RA治療の目標は、寛解導入であるため、現在選択すべき薬剤は、RAの発症機序に関与する特定のサイトカインや分子を標的とした生物学的製剤である。これらの生物学的製 剤は、従来のDMARDよりも有効なことが明らかにされている。さらに、生物学的製剤とメトトレキサートの併用は、生物学的製剤の単剤投与よりもさらに有効かつ効率的である。メトトレキサートは、RAに対するファーストライン非生物学的DMARDとして推奨されている。メトトレキサート単剤療法が無効であった患者は、通常、他の非生物学的DMARDを追加投与するよりも、生物学的DMARDを投与するほうが改善する。BeSt試験10では、DMARDのステップアップ治療戦略は、初期からのメトトレキサート/TNF阻害薬併用療法と比較してあまり有効ではなかった。したがって、メトトレキサート単剤療法に追加する薬剤としては、従来のDMARDより生物学的製剤が好ましい。

では、RA治療において、レフルノミドなどの非生物学的DMARDが果たす役割はまだあるだろうか。答えはもちろん「Yes」であるが、この治療適応は少ない。第一に、レフル ノミドは、メトトレキサートに忍容性がないRA患者やメトトレキサートが禁忌とされた患者に対するファーストラインDMARDとして使用できる。第二に、BeSt試験では、予後不 良因子を有する早期活動性RA患者に対して、メトトレキサートとスルファサラジンまたはシクロスポリンおよびグルココルチコイドを用いた初期治療は、メトトレキサートとTNF阻害薬の併用と同程度有効であったことを示している。また、Cochraneレビューは、レフルノミドの有効性が、スルファサラジンおよびシクロスポリンと同等以上であることを示していた。したがって、レフルノミドは、このようなRA患者集団にメトトレキサートおよびグルココルチコイドと共に処方でき、期待できる有効性は、BeSt試験の併用療法群と同等である。第三に、メトトレキサート単剤療法で十分な効果が得られないRA患者に対して、メトトレキサートに加えてレフルノミドを投与すると、疾患活動性の改善に有用である。最後に、レフルノミドはTNF阻害薬と併用してよいかもしれない。その場合の有効性と安全性はメトトレキサートとTNF阻害薬の併用と同等であろう。

結論として、RA治療への使用が承認されて10年以上経過したレフルノミドは、消化管疾患、高血圧、皮疹、脱毛などの特定の有害事象の発生率は高いものの、メトトレキサート と同様に有効なことが明らかになっている1。RAに分子標的療法が行われている今日、従来のDMARDよりも生物学的製剤のほうが選択肢が多い。レフルノミドは、メトトレキサートと同様に、初回投与DMARDとして、またはTNF阻害薬や非生物学的DMARD、グルココルチコイドと併用する治療戦略のanchor DMARDとして、RA治療の一角に位置を占めている。

doi:10.1038/nrrheum.2010.76

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