光学的分子画像検査による早期内皮活性化の検出:有望なRAの新たな理学検査法となるか?
Nature Reviews Rheumatology
2011年1月4日
Imaging Optical molecular imaging to detect early endothelial activation a promising novel modality for RA?
関節リウマチ(RA)患者の予後は早期の診断と治療の実施によって大きく改善する可能性があるため、RAにおける炎症性変化をできるだけ早期に検出する方法が、現在の主要な研究分野となっている。単純X線撮影などの従来の画像検査法では、骨びらんや関節裂隙狭小化など疾病経過の後期に起こるRAの特徴を検出できるのみである。しかし、分子画像検査法には、臨床的RAに至るごく早期の炎症性イベントを同定できる可能性がある。Gompelsらは、近赤外蛍光色素で標識した抗E-セレクチ ン抗体を用いたin vivo の光学的分子画像検査によって、急性炎症およびRAモデルマウスにおいて早期の内皮活性化が検出できるかどうかを検討した。
急性炎症モデルマウスにおいて、腫瘍壊死因子を右肢底肉球に注射することにより、局所的な浮腫を生じさせた。抗E-セレクチン抗体を注入したところ、抗E-セ レクチン抗体が炎症を起こした足に局在し、対照抗体に比べて2.46倍高い蛍光強度を示した(P <0. 001)。コラーゲン誘導関節炎(CIA)マウスについては、関節炎マ ウスの方が健常マウスより蛍光強度が有意に上昇し(P<0. 001)、また抗E-セレクチン抗体を注入したマウスの方が対照抗体を注入したマウスより蛍光強度が有意に 上昇した(P <0.001)。炎症の主要な領域は中足骨頭および足関節であることが示された。エタネルセプトによる治療で関節炎は消失したが、これは蛍光強度の有意 な低下に相関していた。一方の肢に関節炎が認められず(すなわち、臨床スコアが0)、もう一方の肢に関節炎のあるマウス群においては、非関節炎の足で対照群マウス (非免疫マウス)の肢よりも蛍光強度が有意に上昇し(P<0.01)、この技術の感度と特異度の有望性が示された。
内皮活性化の検出に光学的分子画像検査を用いることは、疾患の重症度とモデル動物における実験的治療の有効性を定量化するのに効果的であると著者らは結 論づけている。さらに、内皮活性化は炎症プロセスの早期の特徴であるため、早期RAの検出がさらに向上する可能性がある。実際、新たなレポータープローブや蛍 光染色法の開発により、RAで早期に認められる分子の変化に対する洞察が深まる可能性がある。
doi:10.1038/nrrheum.2010.206
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