Review Highlight
変形性関節症の骨-軟骨ユニット
Nature Reviews Rheumatology
2010年12月7日
The bone–cartilage unit in osteoarthritis
変形性関節症(OA)は、遺伝的因子と後天的因子に起因する機械的損傷に誘発された一群の関節疾患を指す名称である。現在、病態生理学的には、関節全体の疾患であるというコンセプトが注目されている。そうしたコンセプトモデルの中で、関節軟骨と軟骨下骨から成る機能ユニットに特に関心が向けられているようである。軟骨と骨は、運動や荷重に伴うストレスを受けとめ分散させているため、常に生物力学的な負荷を受けている。最近のデータから、軟骨と骨の間で石灰化組織を越えて相互に情報を伝達しあっていることが明らかとなっている。骨から伸びた血管が軟骨部分に接触し、非石灰化軟骨の一部が骨と接触し、さらにmicrocrackや亀裂が生じて分子の移動 を可能にしている。骨形成蛋白質やWntなど、いくつかのシグナル伝達経路は、OAにおいて何らかの役割があり、軟骨細胞と骨細胞の両者で、細胞代謝や分子反応を活性化すると考えられている。さらに、細胞内での異なるキナーゼカスケードの活性化は、軟骨と骨細胞の分子レベルでのクロストークに関与しているようである。これら様々な病態を統合して包括的な研究方針をたてるためには、さらなる研究が必要である。それによって、OAの病態への理解が深まり、具体的な治療薬や治療戦略の開発につながるであろう。
doi:10.1038/nrrheum.2010.197
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