RAにおけるBMIと治療反応の関係
Nature Reviews Rheumatology
2011年1月2日
Rheumatoid arthritis Link between BMI and response to therapy in RA
脂肪組織は関節リウマチ(RA)の病態生理に何らかの役割を果たしており、患者のBMIが治療反応に影響を与える可能性があることが、新たにArthritis & Rheumatism で発表された。
脂肪組織は、腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン-1などのサイトカイン、そしてレプチンやレジスチンなどのアディポカインを産生することによって、炎症反応を調節し、RAなどの多数の疾患の発症に関与している。しかし、RAにおける脂肪組織の役割については議論の余地があり、発表された結果は首尾一貫していない。これに関連して、脂 肪組織が患者の治療反応に影響を及ぼすか否かという問題には、まだ結論が出ていない。この論文の研究チームのリーダーであるPaul-Peter Takは、「TNF阻害薬はRA治療 に有効であることが証明されているが、十分な反応が認められない患者も確実に存在する。この原因は現在完全に解明されてはいないが、部分的に体脂肪量によって説明で きる可能性がある」と説明している。
このアイデアをさらに検討するため、Academic Medical Center/University of AmsterdamのTakらは、活動性RA患者89例を対象にインフリキシマブに対する反応を評価した。インフリキシマブはTNF阻害薬であり、体重1kg毎の用量で投与する(3mg/kg、静脈内投与)。全症例、それまで生物学的製剤の投与を受けたことがなく、一定用量のメトトレキサート投与を受けていた(5~30mg/週)。治療反応は、投与16週間後の28関節疾患活動性スコア(DAS28)の改善度で評価した。
本研究対象患者のベースライン平均BMIはDAS28と正の相関を示し、BMIが高値の患者は低値の患者よりも疾患活動性が高かった。さらに、ベースラインDAS28を補正し て共分散分析を行ったところ、16週間後のDAS28減少値とBMIが負の相関を示した。そしてこの関係は患者の抗シトルリン化ペプチド抗体(ACPA)の値には関連しなかった。 「ACPAの有無で補正しても、ベースラインのBMIが高いRA患者は、16週間にわたるインフリキシマブ治療への反応が乏しかった」とTak は述べている。
論文の考察の項で、著者らはこの試験の限界を認めている。比較的サンプルサイズが小さかったこと、治療期間が短期であったこと、独立したコホートで知見が確認されてい ないことである。しかしTakは、「これらの結果は、脂肪組織がRAの進展に関与するという考えを支持しており、TNF阻害薬で治療を行う他の免疫を介する炎症性疾患にも関与 している可能性がある」と結論づけている。
doi:10.1038/nrrheum.2010.221
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