Primer
ハンチントン病
Nature Reviews Disease Primers
2015年4月23日
Huntington disease
ハンチントン病は壮年期に多発する常染色体優性遺伝性疾患であり、進行性の経過をたどる上に、運動性症候、認知性症候および行動性症候を合併するため、患者とその家族を疲弊させる。本疾患は、原因タンパク質のハンチンチンをコードする遺伝子HTTにおけるCAG三塩基繰り返し配列(可変長)の異常伸長によって引き起こされる。変異の保因者のハンチンチンには異常長ポリグルタミン配列が認められ、これがハンチンチンの異常機能が獲得につながり、このタンパク質の断片化を起こりやすくする。その結果、患者は神経機能障害をきたして死に至る。本Primerでは、ハンチントン病の疫学における留意点として、これまで考えられていた以上に有病率が高く、その地域差も増大していることについて概説する。本疾患の遺伝的修飾因子の概念、およびCAG繰り返し配列の長さと臨床症状との関連についても解説する。正常型ハンチンチンタンパク質の機能、および変異型ハンチンチンバリアントによる特異的毒性のエビデンス、ならびにハンチンチン凝集説をはじめ、その他多くの発症機序について考察する。また、ハンチントン病の遺伝子診断と臨床診断、それらの臨床的評価、ならびに効果的な病態修飾療法がないことを前提とした集学的症状管理について解説する。さらに、過去と現在の臨床試験をはじめ、まもなく終了するハンチンチンレベルを低下させる標的薬の臨床試験や次世代の臨床試験を支援するバイオマーカーの開発状況の進展など、現在研究が進められている治療戦略についても概説する。
doi:10.1038/nrdp.2015.5
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