Primer

水痘帯状疱疹ウイルス感染症

Nature Reviews Disease Primers

2015年7月2日

Varicella zoster virus infection

水痘帯状疱疹ウイルス感染症
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水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)の感染症は水痘の原因となり、免疫不全者、胎児および成人で重症化する場合がある。初回感染後に神経節ニューロンへの潜伏感染が起こる。この期間中、ウイルス粒子は産生されず、明らかな神経損傷も起こらない。ウイルスが再活性化すると、ウイルスの複製(これが原因で、ウイルスが潜伏している神経に支配された組織に帯状疱疹が発症する)、炎症および細胞死が起こる。この過程により、持続的な神経根痛(帯状疱疹後神経痛)に進展する場合がある。帯状疱疹後神経痛の発症機序は明らかにされておらず、治療も困難とされている。さらにこれ以外にも、脊髄炎、脳神経麻痺、髄膜炎、脳卒中(脈管障害)、網膜炎、および消化器系の感染症(潰瘍、膵炎、肝炎など)のような、帯状疱疹合併症が発症することがある。VZVは、効果の高いワクチンが存在する唯一のヒトヘルペスウイルスである。水痘発症後またはワクチン接種後に、野生型とワクチン型の両VZVが潜伏感染し、水痘発症に対する長期の免疫が確立される。しかし、この免疫によって再活性化を防ぐことはできない。そこで、水痘用と帯状疱疹用の2種類のワクチンが使用されている。このPrimerでは、VZV感染症を制御する分子機構を中心に、この疾患の発症機序、診断、治療および予防について解説する。

本Primerの図解サマリー

doi:10.1038/nrdp.2015.16

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