喘息
Nature Reviews Disease Primers
2015年9月10日
Asthma
喘息は、最もよく見られる肺の炎症性疾患である。喘息の有病率は、欧米の生活スタイルを取り入れた世界の多くの地域で増加しており、この疾患は世界に健康面、経済面の負担を課している。喘息は、大気道と小気道の両方に関係し、子宮内で起こると考えられる炎症と構造的リモデリングの組み合わせによって特徴付けられる。出生後の喘息成立がアレルギー感作に強く関係する発生学的背景に応じて喘息が進行する。ほとんどの喘息患者は、ウイルス性喘鳴やアレルゲン感作などの多様な経過をたどる。このことは、疾患の発症機序(またはエンドタイプ)が個々の患者によって異なっていることと関連している。患者の生涯に渡って進行する喘息の特異的な特徴は、エンドタイプの各セットによって順に生じる。喘息の強力な遺伝的および環境的原因は、出生前から小児期を通じて活動する新しいエピジェネティック機構を介して相互に関わっている。成人期になると喘息は自然寛解、あるいは新たに発症するが、喘息の発現および回復につながる要因は、年齢に関係なく、ほとんど明らかにされていない。にもかかわらず、喘息成立に伴う気道の構造的変化が重要な役割を担うことを示すエビデンスが増加しており、その上に、自然免疫機構および微生物叢の相互作用の変化が追加された。原因となる新たな発症経路の同定に基づき、喘息患者の生涯に渡るサブ表現型を決定することによって、より個別化され、正確な発症経路に特異的な予防と治療のアプローチに道筋がつけられ、この慢性炎症性疾患の包括的な予防と治癒の現実の可能性が創出される。
PrimeView
喘息患者の気道には慢性炎症が起きている。このPrimeViewでは、喘息の原因と治療についての要約、および、喘息予防の標的となり得る汚染物質やアレルゲンへの曝露などのリスク因子が明示されている。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2015.25
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