尋常性痤瘡
Nature Reviews Disease Primers
2015年9月17日
Acne vulgaris
尋常性痤瘡は、世界で最もよく見られる皮膚疾患であり、世間一般にいうライフサイクルにおける自然現象の1つというよりは、毛包、毛幹および脂腺から構成される毛嚢脂腺部の慢性炎症性疾患である。痤瘡の主な形成機構としては、脂漏過多に関連する脂腺活性(皮脂産生促進)ならびに皮脂の脂肪酸組成の変化、ホルモン微小環境の異常調節、神経ペプチドの相互作用、毛包の角化異常、炎症の誘発および自然免疫と獲得免疫の機能不全などが挙げられる。痤瘡の重症度判定には、病変部の計数法と写真判定法が行われている。しかし、厳密な重症度判定基準に関する統一見解はなく、このことが治療を評価する無作為化対照臨床試験の実施と比較の妨げになっている。痤瘡の予防には、基礎となる全身性疾患やライフスタイルの要因のような修正可能なリスク因子を十分に管理することが必要である。現在、いくつかの治療法が行われているが、エビデンスに基づく推奨をガイドラインに盛り込む上で、データ不足が指摘されている。加えて、痤瘡のさまざまな病態生理学上の側面を標的にするために、治療薬の複雑な併用レジメンが必要であり、このことがアドヒアランスの低下を招いて、治療の成功が損なわれている。痤瘡は瘢痕化の原因となることが多く、患者の生活の質を低下させる。最終生成物の影響の抑制から痤瘡形成の早期プロセスの標的化へと移行した新しい治療法によって、痤瘡患者の転帰の改善が促進されるだろう。
PrimeView
尋常性痤瘡は、毛包、毛幹および脂腺から構成される毛嚢脂腺部における慢性炎症を原因とする皮膚疾患であり、世界で約6億5000万人が罹患している。このPrimeViewでは、いくつかの主な痤瘡形成機構が明示されている。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2015.29
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