Primer
重症複合免疫不全症および関連疾患
Nature Reviews Disease Primers
2015年10月29日
Severe combined immunodeficiencies and related disorders
重症複合免疫不全症(SCID)は、早発性であり、Tリンパ球の発達が著しく阻害されることを特徴とする一群のまれな単一遺伝子疾患から成り立っている。SCIDでは、患者の獲得免疫が無効であることから、日和見感染と非日和見感染の両方が繰り返されるようになり、免疫が回復されない限り、早期死亡に至る。完全といかないまでも著しいT細胞性免疫不全(非定型SCIDまたは複合免疫不全と呼ばれている)を引き起こす多くの他の異常に加えて、SCIDの原因となるいくつかの分子の異常が同定されている。現在、これらの状態の多くの病態生理が特徴付けられている。現在行われている新生児のスクリーニングと合わせて、正確で高精度の早期診断を実施することで、SCIDを有する幼児のケアにおいて、例えば同種造血幹細胞移植における転帰の改善のような大きな進歩が実現した。遺伝子治療も有効な選択肢の1つになっている。今後、遺伝子治療に関して、さらなる進歩と適応拡大の促進が期待される。SCID患者における、免疫回復の質と持続可能性、後遺症のリスク、およびこれらいくつかの状態に伴って生じる非造血器症候群の兆候に対する軽減作用の評価の観点から、長期転帰の評価は現在の重要な問題である。
PrimeView
重症複合免疫不全症または複合免疫不全のある患者は、重篤な免疫不全状態に陥り、反復性感染を起こしやすいため、免疫機能が回復されない限り、早期致死を来す。このPrimeViewでは、生活の質を改善する優れた治療戦略について明示する。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2015.61
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