Primer
α1-アンチトリプシン欠乏症
Nature Reviews Disease Primers
2016年7月28日
α1-Antitrypsin deficiency
α1-アンチトリプシン欠乏症(A1ATD)はSERPNA1の変異が原因で起こる遺伝性疾患であり、肝疾患や肺疾患を来す。A1ATDは希少疾患ではないが、過小診断されるか、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または原因不明の肝疾患と誤診されることが多い。SERPNA1のSアレルおよびZアレルに最も高頻度に疾患関連変異が起こり、ミスフォールド型のα1-アンチトリプシンの肝細胞内蓄積、小胞体ストレス、血中α1-アンチトリプシン濃度低下および肝疾患が引き起こされる。現在のところ、重症肝疾患の治療法はなく、肝不全により生命が脅かされる状態になった場合に肝移植による管理が行われるのみである。A1ATD関連肺疾患のほとんどは成人に発症し、主としてプロテアーゼの阻害が十分に行われないことによって引き起こされる。A1ATD関連肺疾患の治療には、COPD治療薬を使用した標準治療に加えて、強化治療(ヒト血漿由来精製α1-アンチトリプシンの注入)が行われる。現在、ミスフォールド型のα1-アンチトリプシンの標的化や原因遺伝子変異の修正を試みた新しい治療法が開発中である。
PrimeView
このPrimeViewでは、SERPNA1の変異が原因で起こる遺伝性疾患であるα1-アンチトリプシン欠乏症(A1ATD)の発症機序について取りまとめる。A1ATDは肝疾患や肺疾患を引き起こし、それらの高い罹患率と死亡率の増加に関連するとみられている。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2016.51
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