Primer
市中細菌性髄膜炎
Nature Reviews Disease Primers
2016年11月3日
Community-acquired bacterial meningitis
髄膜炎は大脳の皮質と実質にも影響し得る髄膜およびくも膜下腔の炎症である。髄膜炎には市中で自然に感染するもの(市中細菌性髄膜炎)と侵襲的手技による合併症や頭部外傷によって院内感染するもの(院内細菌性髄膜炎)がある。治療法や予防接種は進歩しているものの、市中細菌性髄膜炎は今も世界で最も重要な感染性疾患の1つである。肺炎連鎖球菌および髄膜炎菌は最もよく見られる起炎菌であり、高い罹患率および死亡率に関連している。これらの微生物に対するワクチンは、インフルエンザ菌b型髄膜炎を標的化した実績のあるワクチンと同じデザインを有しており、現在、多くの通常の予防接種プログラムに使用されている。基礎研究と遺伝子関連研究によって細菌性髄膜炎の病因に関するわれわれの知識は深まってきた。早期の抗菌薬治療によって治療成績は改善したが、血清型および菌群の分布が変化しただけでなく、薬剤耐性菌の出現が増加したため、新しいワクチンと治療方法の開発が爆発的に進められるようになった。細菌種によってはコルチコステロイドが有益であることが高所得国で明らかにされた。治療成績をさらに改善するには、宿主の炎症反応の緩和と予防方法、とりわけ新しいワクチンの開発への取組みが必要になるだろう。
PrimeView
市中細菌性髄膜炎は髄膜の炎症であり内科的救急疾患である。このPrimeViewでは、細菌が宿主に感染した後、血流に移行して脳脊髄液に侵入する機構を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2016.74
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