シーハン症候群
Nature Reviews Disease Primers
2016年12月22日
Sheehan syndrome
シーハン症候群(または分娩後下垂体機能低下症)は下垂体の壊死による下垂体機能低下を特徴とする疾患である。この初期傷害は、大量の分娩後出血(PPH)によって引き起こされ、妊娠中に増大する下垂体への血液供給が滞る。シーハン症候群の素因としては、小さいトルコ鞍(sella turcica)、PPHに起因する血管攣縮および/または妊娠または凝固障害に関連する血栓症が知られている。下垂体機能悪化の進行には自己免疫が関与している可能性がある。シーハン症候群の症状は、1種以上の下垂体ホルモンの減少または欠失に起因し、乳汁分泌低下や疲労などの非特異的症状から重篤な副腎不全まで多種多様である。血管系に関連するホルモン分泌細胞の位置と一致して、成長ホルモンとプロラクチンの分泌低下が最もよく見られ、卵胞刺激ホルモンと黄体形成ホルモンがこれに続く。下垂体の重度の壊死によっても、甲状腺刺激ホルモンと副腎皮質刺激ホルモンの分泌が低下する。通常、出産後数年で症状が顕在化するが、まれに急激に発症することがある。シーハン症候群の発生率は、PPHの発生と管理に大きく左右される。この症候群は、発展途上国での下垂体機能低下症の主な原因になっているが、先進国ではまれである。診断は、大量のPPHの病歴と臨床症状を組み合わせて行われる。臨床上の疑いがある場合は、ホルモン濃度および/または刺激試験によって確認が行われる。今のところ、利用可能な唯一の管理方法はホルモン補充療法である。
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シーハン症候群(または分娩後下垂体機能低下症)は、下垂体の壊死による下垂体機能低下を特徴とする疾患である。この初期傷害は、大量の分娩後出血によって引き起こされ、妊娠中に拡大した下垂体への血液供給が滞る。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2016.92
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