天疱瘡
Nature Reviews Disease Primers
2017年5月11日
Pemphigus
天疱瘡は、角質溶解(細胞接着の喪失)が水疱およびびらんを引き起こす、皮膚および口腔粘膜などの層状扁平上皮のIgG媒介性自己免疫疾患の一群である。天疱瘡は、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡の3つの型に大別される。デスモソームで発見された細胞間接着分子であるデスモグレイン1およびデスモグレイン3に特異的なIgG自己抗体の産生が特徴として認められている。水疱形成部位は、抗デスモグレイン自己抗体プロファイルやデスモグレインアイソフォームの組織特異的発現パターンによって生理学的に説明することができる。天疱瘡のマウスモデルと患者のいずれでもT細胞とB細胞の病態生理学的役割が特徴付けられており、自己免疫機構への洞察が明らかにされている。診断は臨床症状に基づいて行われ、組織学的検査や免疫化学的検査で確認される。現在の第1選択治療では、コルチコステロイドの全身投与をはじめ、免疫抑制薬、免疫グロブリンの静脈投与や血漿交換療法などの補助療法が行われる。CD20+B細胞に対するモノクローナル抗体であるリツキシマブは、近い将来、第1選択治療となりうる有望な治療選択肢である。天疱瘡は、最も特徴をよく調べられているヒト自己免疫疾患の1つであり、特に自己免疫疾患に対する抗原特異的免疫抑制治療の開発に向けて、基礎研究と臨床研究の両方に理想的なパラダイムを提供している。
PrimeView
天疱瘡の動物モデルが開発されたことにより、この自己免疫疾患の病理学的機構への理解が深まった。このPrimeViewでは、細胞接着に関与するタンパク質に特異的な自己抗体が、天疱瘡の主な病変である水疱やびらんを形成する機構について図解する。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2017.26
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