ビタミンB12欠乏症
Nature Reviews Disease Primers
2017年6月29日
Vitamin B12 deficiency
ビタミンB12(B12、コバラミンとしても知られる)は細胞内代謝、特にDNA合成やDNAメチル化をはじめ、ミトコンドリア代謝に重要な役割を担うビタミンBの1つである。臨床的に明らかなB12欠乏症では典型的な血液学的および神経学的症状を認めるが、比較的まれな疾患といえる。しかし、定義によって幅があるものの、一般集団の2.5%から26%に潜在性欠乏症が認められている。ただし、この潜在性欠乏症の臨床的関連は明らかにされていない。B12欠乏症は年齢に関係なく発症するが、とりわけ高齢者に好発する。幼児、小児、思春期および再生産年齢の女性の場合でも、食餌からのB12含有動物由来食品の摂取が制限されると、この欠乏症のリスクが高くなる。不適切な食餌、生物学的利用能の低下あるいは吸収障害のいずれかによって、この欠乏症が引き起こされる。B12の細胞内欠乏は、血中のB12輸送障害、細胞内取込みまたは細胞内代謝の異常によって生じる。B12の欠乏状態の検査には、血中総B12濃度とトランスコバラミン結合B12濃度の低下をはじめ、ホモシステインやメチルマロン酸の過剰な濃度上昇などのバイオマーカーが使用される。しかし、臨床的に明らかな欠乏症と潜在性欠乏症を分類する正確なカットオフ値については、いまだ議論中である。B12欠乏症の管理には、高用量経口投与または非経口投与によるB12の補充が行われる。このPrimerでは、B12欠乏症に関する最新の知見を解説し、本疾患の診断法の進展をはじめ、有病率、原因および症状に関する概念の変化について取りまとめる。
PrimeView
ビタミンB12欠乏症は、さまざまな症状を有するが、とりわけ、血液学的および神経学的症状が最も顕著である。このPrimeViewでは、不適切な食餌摂取、吸収障害、輸送障害や細胞内代謝異常など、ビタミンB12欠乏症の原因を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2017.40
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