Primer
多発性骨髄腫
Nature Reviews Disease Primers
2017年7月20日
Multiple myeloma
多発性骨髄腫は、最終分化した形質細胞の悪性腫瘍であり、通常、単クローン性増殖した形質細胞の骨髄浸潤だけでなく、患者の血清または尿中に単クローン性免疫グロブリンが認められる。多発性骨髄腫の診断では、形質細胞増殖性疾患による明らかな末梢臓器の障害、あるいは障害の可能性が高いと示唆される所見の有無が調べられる。治療を必要とする症候性多発性骨髄腫と、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症やくすぶり型多発性骨髄腫のような前駆段階の病態を区別することが重要であるため、これらの疾患では十分な観察を行うことになっている。この10年間で、本疾患の生物学や個別化治療への理解は大きく進歩した。コルチコステロイド、アルキル化剤、アントラサイクリンのような従来の治療薬に、プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬などの新しいクラスの薬物がいくつか追加されただけでなく、高用量療法や自己造血幹細胞移植も行われるようになり、臨床反応の大きさと持続性が促進された。実際、持続的寛解に到達する患者の割合は増加しており、この疾患が治癒する可能性が高まっている。治療の成功には、有効な薬剤の併用に加えて、くすぶり型多発性骨髄腫のような早期の段階から、患者の治療を開始することが大切と考えられる。
PrimeView
このPrimeViewでは、骨髄生検、臨床検査、および放射線撮影などの診断法を中心として、Kumarらが解説した多発性骨髄腫のPrimerの内容にそって図説する。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2017.46
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