Primer
脆弱X症候群
Nature Reviews Disease Primers
2017年9月29日
Fragile X syndrome
脆弱X症候群(FXS)は、知的障害や自閉症スペクトラム障害の最も多い遺伝型であり、多動、衝動、不安などの重度の行動異常に加えて、言語発達障害やけいれんが現れる疾患である。FXSは、トリプレットリピート病の1つで、FMR1遺伝子の中に200以上のCGG繰り返し配列を有している。これにより遺伝子が抑制された結果、遺伝子産物である脆弱 X 精神遅滞タンパク質1(FMRP)が減少する。FMRPは遺伝子発現に主要な役割を果たしている。おそらく何百種類ものmRNAが、その翻訳を調節されており、それらの多くは、神経シナプス結合の発達と維持に関与している。実際、神経可塑性の異常は、FXS動物モデルでの重要な所見の1つであり、これによる抑制性および興奮性神経回路のバランス異常が原因となって多様な臨床症状が発現するとみられている。FMRPの調節を受けるこれらタンパク質に関する報告は急速に増えており、さまざまな治療介入標的が同定されている。それらの中には既に、臨床試験や臨床診療で利用されているものも存在する。
PrimeView
脆弱X症候群の原因は、FMR1遺伝子での過剰なトリプレットリピート配列の存在であることが大多数の症例で認められている。これにより、遺伝子産物である脆弱 X 精神遅滞タンパク質1(FMRP)の発現量が減少する。このPrimeViewでは、神経可塑性の異常をはじめ、FMRP欠損によって引き起こされるさまざまな病態を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2017.65
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