家族性高コレステロール血症
Nature Reviews Disease Primers
2017年12月7日
Familial hypercholesterolaemia
家族性高コレステロール血症はよくみられる遺伝性疾患の1つで、血中の低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール値が生後から異常に上昇することを特徴とし、心血管疾患(CVD)の発症原因にもなる。大部分の症例でLDL受容体の遺伝子であるLDLRの常染色体優性変異が原因となっているが、コレステロール代謝やLDL受容体の機能とプロセッシングに関与するタンパク質の遺伝子(APOB 、PCSK9など)の変異も頻度は低いが原因とみられている。家族性高コレステロール血症の診断にはいくつかの基準がある。中でもLDLコレステロール値の上昇と高コレステロール血症または(若年性)CVDの家族歴がよく用いられる診断上の特徴である。原因となっている遺伝子異常を同定する遺伝子検査が望ましいが、診断法としては必須ではない。家族性高コレステロール血症患者の家族を対象とした早期診断にはカスケードスクリーニングが有用であり、数十年の無症状期間があることからも重要である。臨床的重症度は、他の要因よりも原因となる遺伝子変異の性質によって決まり、さらに変異の種類によっても影響を受ける。生涯にわたるLDLコレステロール低下療法はCVD無病生存率と同生存期間を大幅に改善する。第一選択薬はスタチンであるが、エゼチミブ、胆汁酸吸着剤、PCSK9阻害薬などの追加や他の新しい治療法も必要となることが多い。
PrimeView
このPrimeViewsでは、低比重(LDL)コレステロールの代謝に着目し、家族性高コレステロール血症の原因遺伝子変異によって、血中LDLコレステロールが十分に除去されなくなる機構について図説する。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2017.93
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