Primer
食物アレルギー
Nature Reviews Disease Primers
2018年1月4日
Food allergy
食物アレルギーでは、消化管だけでなく皮膚や肺に、さまざまな臨床症状が現れるが、なかでもアナフィラキシーショックは最も劇的な症状で、時に死に至ることもある。本疾患では、食物抗原によって惹起される免疫グロブリンE(IgE)依存性反応あるいは非IgE依存性反応に対する臨床的および免疫学的寛容が破綻しているが、基礎研究に加えて、トランスレーショナル研究や臨床研究が大きく進歩したことによって、食物アレルギーの免疫学的機構の解明が進んだ。これにより、生活習慣、食生活および母子相互作用が、腸内微生物叢の質的および量的組成を含めて、食物アレルギーの発症に大きく影響することが明らかになった。これらの要因が最も強く影響を及ぼすのが乳児期であることから、「二重抗原曝露仮説」のような、食物アレルギーの蔓延を説明する仮説が立てられている。このような仮説をもとに、患者の体内でアレルゲンに対する脱感作や寛容を確立させる予防戦略の研究が活発化した。現在、多くの臨床試験で、アレルゲン非特異的治療法も検証されており、今後の食物アレルギーの治療では選択肢がさらに広がるだろう。
PrimeView
このPrimeViewは、有望な予防戦略を考える上で必要な、食物アレルギーの発症リスクに関する主な仮説について取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2017.98
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