Primer
血管性認知障害
Nature Reviews Disease Primers
2018年2月15日
Vascular cognitive impairment
血管性認知障害(VCI)という疾患名は21世紀に入ってから使用されはじめ、主観的な認知機能低下や軽度の認知障害から認知症に及ぶあらゆる重症度の認知障害に血管病変が関与すると考えられるようになった。認知機能が低下した高齢者では血管病変がよくみられるが、純粋な血管性認知症、すなわち血管病変のみを原因とする認知症はまれである。実際、血管性認知症患者は血管病変以外の病態を伴うことが非常に多く、中でもアルツハイマー病が最もよくみられ、特に、アミロイドβプラークのびまん性沈着とタウタンパク質による神経原線維変化を認めることが多い。現在のところ、血管障害の治療だけでなく、高血圧や糖尿病のような他のリスク因子の管理を行うことで、VCIを予防することが主な治療法となっている。現状では、疾患を修飾する治療薬は存在しないが、将来的には特定の脳疾患を標的にして認知機能低下や認知症の予防が可能になると期待されている。
PrimeView
このPrimeViewでは、van der FlierらによるPrimerの内容にそって、血管性認知障害(VCI)に関連する、人口統計学的要因、生活習慣、特定の慢性疾患などのリスク因子を中心に取りまとめる。
本Primerの図解サマリー
doi:10.1038/nrdp.2018.3
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