Volume 477 Number 7365

Editorials

冷戦終結から20年が経って国家の安全保障は医療や経済にまで拡大しており、科学研究と軍事研究は、いまだに互いを必要としている。

p.369

doi: 10.1038/477369b

ワクチンに対する根拠なき不安感の高まりは懸念すべき問題であり、米大統領候補指名をめざす公人が、不安をあおる言動をすべきではない。

p.369

doi: 10.1038/477369a

News

テキサス州知事が、幹細胞治療の規制をめぐってFDAと対立する姿勢を。

p.377

doi: 10.1038/477377a

米フェルミ研究所の粒子加速器テバトロンの運転終了により、素粒子物理学界の研究の方向に変化が。

p.379

doi: 10.1038/477379a

太陽系外惑星に関する新たな発見が相次ぎ、天文学者たちに活気が。

p.383

doi: 10.1038/477383a

オーストリアで、不正行為のため停職になっていた大学研究者を復職させるよう、司法判断が。

p.384

doi: 10.1038/477384a

News Features

軍事科学の変貌

p.386

国防総省が助成する基礎研究の先行きが不透明になっている。

doi: 10.1038/477386a

知性の共有

p.388

軍は科学的に価値あるデータを大量に保有しており、意外なことに一部にはアクセスできるものもある。

doi: 10.1038/477388a

頭脳戦

p.390

戦争の際に受けた爆発の影響が、脳障害の発生にかかわっている可能性がある。

doi: 10.1038/477390a

News & Views

フォーラム:老化:長命への道に現れた障害

p.410

タンパク質であるサーチュインの発現増大は寿命を延ばすことが、複数種の生物で示されている。新たな研究で、サーチュインのこのような効果の一部が実験を設計した際に入り込んだ紛らわしい要素が原因である可能性が示された。このフォーラムでは、このデータが老化研究に持つ意味について専門家に討論してもらった。

doi: 10.1038/477410a

材料科学:濡らすと滑りやすくなります

p.412

ウツボカズラのような食虫植物の筒状の葉の内部がつるつると滑りやすいことにヒントを得て、自分で潤滑液を出し、自浄性があり、自己修復性も備えた滑り性材料が作られた。その秘密は、油や水をはじく液体を多孔質材料に注入したことである。

doi: 10.1038/477412a

合成生物学:あらゆる用途に対応可能な酵母

p.413

酵母のゲノムを徹底的に調べて、もっと安定なうえに操作も可能で、進化もするゲノムに改変する研究が始まっている。自然のままの部分と合成部分の両方を含む酵母細胞がしっかり機能し、複製も可能で、明らかな悪影響が見られないという、注目すべき結果が今回得られた。

doi: 10.1038/477413a

量子物理学:バスに乗る単一電子

p.414

単一電子回路は量子情報処理にとって期待が持たれる方法である。遠く離れた量子ドット間での単一電子の伝播が実証されたことは、この技術が実現に一歩近づいたことを示している。

doi: 10.1038/477414a

ゲノミクス:際限のない変化が最も美しい

p.415

形質の遺伝学的基盤は、同一種に属する変異体のDNAを比較することで解明できる。今回、1つのモデル植物のさまざまな系統のゲノムが解読され、いろいろなことが明らかになった。

doi: 10.1038/477415a

ワクチン学:厳密に調整された抗体でHIVを取り押さえる

p.416

HIV-1のエンベロープタンパク質の一部を標的とする中和抗体群が新たに見つかり、このような抗体の内で最も強力なものが、その強力な有効性と広い効果範囲を獲得する仕組みの一端がわかってきた。

doi: 10.1038/477416a

Articles

遺伝:シロイヌナズナの複数の参照ゲノムおよびトランスクリプトーム

Multiple reference genomes and transcriptomes for Arabidopsis thaliana p.419

doi: 10.1038/nature10414

免疫:CTCF結合配列はV(D)J組み換えの制御に関与する

CTCF-binding elements mediate control of V(D)J recombination p.424

doi: 10.1038/nature10495

Letters

宇宙:渦巻銀河 NGC 3393に存在する近接した銀河核ブラックホール対

A close nuclear black-hole pair in the spiral galaxy NGC 3393 p.431

doi: 10.1038/nature10364

物理:飛行する電子を使う量子光学用プラットホームとしての音波に波乗りする電子

Electrons surfing on a sound wave as a platform for quantum optics with flying electrons p.435

doi: 10.1038/nature10416

物理:離れた量子ドット間のオンデマンド単電子移動

On-demand single-electron transfer between distant quantum dots p.439

doi: 10.1038/nature10444

材料:生物からヒントを得て考案された、圧力に対して安定なオムニフォビシティ(omniphobicity)を持つ自己修復性滑り性表面

Bioinspired self-repairing slippery surfaces with pressure-stable omniphobicity p.443

doi: 10.1038/nature10447

地球:原生代中期の海洋に広がっていた鉄に富む状態

Widespread iron-rich conditions in the mid-Proterozoic ocean p.448

doi: 10.1038/nature10327

進化:軟体動物門内の類縁関係の系統ゲノミクスによる詳細な解明

Phylogenomics reveals deep molluscan relationships p.452

doi: 10.1038/nature10382

遺伝:抗生物質耐性は古代から存在する

Antibiotic resistance is ancient p.457

doi: 10.1038/nature10388

医学:コレラの第七次世界的流行には複数回の世界的伝播の波があったことを示す証拠

Evidence for several waves of global transmission in the seventh cholera pandemic p.462

doi: 10.1038/nature10392

医学:多数の非常に強力な抗体によるHIVの広範囲にわたる中和

Broad neutralization coverage of HIV by multiple highly potent antibodies p.466

doi: 10.1038/nature10373

遺伝:酵母で機能し、設計に応じて表現型の多様性を生み出す合成染色体腕

Synthetic chromosome arms function in yeast and generate phenotypic diversity by design p.471

doi: 10.1038/nature10403

医学:Cdk5-介在性リン酸化を阻害する非アゴニストPPARγリガンドの抗糖尿病作用

Antidiabetic actions of a non-agonist PPARγ ligand blocking Cdk5-mediated phosphorylation p.477

doi: 10.1038/nature10383

生理:線虫およびショウジョウバエの寿命にSir2過剰発現の影響は認められない

Absence of effects of Sir2 overexpression on lifespan in C. elegans and Drosophila p.482

doi: 10.1038/nature10296

細胞:細菌免疫系由来のRNAによって誘導される:監視複合体の構造

Structures of the RNA-guided surveillance complex from a bacterial immune system p.486

doi: 10.1038/nature10402

細胞:新生オルニチンデカルボキシラーゼアンチザイムによるポリアミンの感知が、アンチザイムmRNAの解読を促進する

Polyamine sensing by nascent ornithine decarboxylase antizyme stimulates decoding of its mRNA p.490

doi: 10.1038/nature10393

構造生物学:古典的内向き整流性カリウムチャネルKir2.2のPIP2による活性化の構造的基盤

Structural basis of PIP2 activation of the classical inward rectifier K+ channel Kir2.2 p.495

doi: 10.1038/nature10370

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