Nature ハイライト
材料:たいていのものは寄せつけない表面
Nature 477, 7365
食虫植物のウツボカズラは、水性分泌液できわめて滑りやすくなった面によって、餌となる昆虫を罠に滑り落とす。J Aizenbergたちは、これにヒントを得て、高圧下でも機能する自己修復性オムニフォビック(omniphobic)表面を作り出した。このSLIPS(slippery liquid-infused porous surface;液体を含浸させた滑りやすい多孔質表面)は、極性や有機性の液体、あるいは複合液体に対してほぼ完璧な滑り性を示す。SLIPSは極端な条件下でも機能し、安価な材料から容易に作製でき、適切な基板と潤滑剤を選択することによって高い光透過性などの有用な特性を付与できる。この種の「超滑りやすい」表面は、生物医学的流体の操作、燃料輸送、防汚、凍結防止、光学的画像化などへ応用可能かもしれない。
2011年9月22日号の Nature ハイライト
遺伝:シロイヌナズナの系統間の差異
免疫:重鎖形成の秩序を守る
宇宙:対になったブラックホール
物理:表面音波に波乗りする電子
材料:たいていのものは寄せつけない表面
地球:原生代の鉄を探す
医学:現在のコレラ流行はどこから始まったのか
医学:HIV/エイズ治療のための中和抗体
遺伝:部分合成酵母ゲノム
生理:サーチュイン活性の再検討