Nature ハイライト
Cover Story:行動の時:重大な局面を迎えた全球の炭素排出
Nature 573, 7774
気候変動は、まず間違いなく現代の科学と社会の課題である。思い切った対策が講じられなければ、地球の気温は今世紀末までに3°C以上上昇する可能性が高く、それに伴ってこれまでにない異常気象、海水準上昇、大量絶滅、そして人類にとっての悲惨な状況がもたらされると考えられる。気候変動に関する科学的知見とその脅威は明確だというのに、世界の国々とその指導者たちの反応の遅さが明らかになってきている。今週号のNatureでは、世界の250以上の報道機関と連携して「Covering Climate Now」プロジェクトの特集を組んでいる。この組織的イニシアティブの目的は、9月23日に米国ニューヨークで開かれる国連の「気候行動サミット」に向けて、気候変動に関する報道への注目度を高めることである。学校ストライキを呼び掛け、気候変動対策を求める若者たちの運動が高まるにつれ、議論の活気と激しさが増している。人類の知恵が、この難題に立ち向かおうとしているが、社会、産業、政府が実行する決意を固め、いま行動しなければ、こうした懸念は現実のものになるだろう。
2019年9月19日号の Nature ハイライト
神経科学:ニューロンの成熟は一方通行ではない
天体物理学:活動銀河核からの9時間の準周期的なX線の爆発的放射
コンピューティング:スピンによる確率論的コンピューティング
化学:電気を使ってエーテル合成を簡単に
気候変動緩和策:エアロゾル排出量削減に起因する気候ペナルティはない
古生物学:最初の蠕虫様動物の最期の歩み
免疫療法:CAR-T細胞で心筋繊維化を標的化する
免疫学:SLC19A1は環状ジヌクレオチドの輸送体である
腫瘍生物学:E-カドヘリンは転移形成に必要である
エピジェネティクス:ヌクレオソームに結合したMLLヒストンメチルトランスフェラーゼの構造