Nature ハイライト
コンピューティング:スピンによる確率論的コンピューティング
Nature 573, 7774
従来型のコンピューターは、情報を0と1の2進コードで表すビット列を使って決定論的に動作する。しかし、最適化やサンプリングなど、そのような計算法を使って処理するのが難しい多くのクラスの問題があり、これに代わるコンピューティング方式への関心が高まっている。確率論的コンピューティングはそのような例の1つであり、確率ビット(pビット)を利用することを目指している。pビットは、0と1の間で時間とともにゆらぎ、ニューラルネットワークに着想を得た原理を使って、他のpビットと相互作用する。今回、深見俊輔(東北大学)たちは確率的磁気トンネル接合を使った確率論的コンピューティングを実証し、最適化問題の代表例である整数の因数分解を示している。このスケーラブルなスピントロニクスプラットフォームは、最適化やサンプリングなどの難しい問題を解くのに有望なハードウエアを実現する新たな道になる可能性がある。
2019年9月19日号の Nature ハイライト
神経科学:ニューロンの成熟は一方通行ではない
天体物理学:活動銀河核からの9時間の準周期的なX線の爆発的放射
コンピューティング:スピンによる確率論的コンピューティング
化学:電気を使ってエーテル合成を簡単に
気候変動緩和策:エアロゾル排出量削減に起因する気候ペナルティはない
古生物学:最初の蠕虫様動物の最期の歩み
免疫療法:CAR-T細胞で心筋繊維化を標的化する
免疫学:SLC19A1は環状ジヌクレオチドの輸送体である
腫瘍生物学:E-カドヘリンは転移形成に必要である
エピジェネティクス:ヌクレオソームに結合したMLLヒストンメチルトランスフェラーゼの構造