Nature ハイライト
微生物学:マイクロバイオーム関連解析の交絡を解く
Nature 587, 7834
I Vujkovic-Cvijinたちは今回、公的に利用可能な最大の腸内微生物相16Sデータセット[American Gut Project(AGP)による]を用い、機械学習の手法を適用して、腸内微生物相とヒト疾患の間の関連を確立しようとする研究において最大の効果量を持つ交絡変数を明らかにしている。彼らはまず、どの交絡因子候補が腸内微生物相の組成と強力に関連しているかを見いだすことから始めた。これにより、ボディーマス指数(BMI)、性別、年齢、地理的位置、アルコール摂取頻度、排便の質、さまざまな種類の食物の摂取頻度が、腸内微生物相の組成と関連することが明らかになった。彼らは、ほとんどの疾患で、これらの微生物相関連変数の分布に症例と対照の間で有意な差があると報告している。この結果は、典型的な横断調査では、症例と対照を適切に対応させない限り、疾患に関連する差異だけでなく、微生物相に関連する交絡変数によって引き起こされる差異も特定されてしまうことを示唆している。実際、多くの一般的なヒト疾患について、交絡変数について症例と対照を対応させると、これまでに観察された微生物相の差異が減少することが分かった。著者たちは、疑似関連の発生率を低下させるため、比較群を対応させる目的で、推奨される宿主変数のリストを提案している。