Nature ハイライト
生態学:渡り鳥が植物の気候変動への追従を助ける可能性は限定的である
Nature 595, 7865
植物が現在のペースの気候変動に追従するには、その種子を数十キロメートル以上という長距離にわたってより寒冷な緯度域へ散布する必要がある。こうした距離は、通常の種子散布事象のものよりはるかに大きい。J González-Varoたちは今回、渡り鳥が長距離の種子散布を介して気候変動への追従を助けることができるのかについて調べている。これを可能にするには、植物の結実期が鳥類の北方への渡りの時期と一致している必要がある。ヨーロッパ各地の13の森林群落において、81種の液果植物と46種の鳥類からなる種子散布ネットワークを、それらの結実期および渡りのパターンに関するデータと共に調べたところ、これらの群落の植物種の大多数(86%)が南方へ渡る鳥類によって分散されているのに対し、北方のより寒冷な緯度域へと渡る鳥類によって分散される種は35%にすぎないことが分かった。後者の植物群では結実期が長いか遅く、春季の北方への渡りと時期が重なっていた。また、北方への分散の大部分は、わずか数種の鳥類が担っていた。
2021年7月1日号の Nature ハイライト
天文学:大質量で月程度の大きさの白色矮星
宇宙物理学:宇宙の原子時計
材料科学:遷移金属ジカルコゲニドにおける電子固体
生態学:渡り鳥が植物の気候変動への追従を助ける可能性は限定的である
ゲノミクス:体細胞変異を用いたヒトの初期発生の追跡
微生物学:微生物相を標的とした代謝疾患の治療
コロナウイルス:単一細胞レベルで見たCOVID-19
染色体生物学:高分解能で見るクロマチンの接触