Nature ハイライト
材料科学:遷移金属ジカルコゲニドにおける電子固体
Nature 595, 7865
結晶材料中の電子は、さまざまな物質状態に相当する状態、すなわち電子気体、電子液体、電子固体を形成できる。ウィグナー結晶と呼ばれる固相は、低い電子密度、低い運動エネルギーの電子、強い電子相関を必要とする。これらの条件は、磁場や閉じ込め場の存在下で、数種の二次元電子系において満たされる可能性がある。今週号では、H Parkたちが2層の遷移金属ジカルコゲニドにおいて、A Imamoğluたちが単層の遷移金属ジカルコゲニドにおいて、磁場も閉じ込め場も用いずにウィグナー結晶を観測したことを報告している。Parkたちは、相関絶縁体ウィグナー結晶の光学的特徴を観測して、比較的高い電子密度と温度までその安定性を実証している。一方、Imamoğluたちは、単層の光学反射スペクトルにおいて新たなウムクラップ共鳴を調べ、相関電荷秩序の存在を実証している。これらの結果は、二次元遷移金属ジカルコゲニドが、潜在的な中間相の探索など、電子液体とウィグナー結晶の間の転移を研究するプラットフォームとなることを提示するものである。
2021年7月1日号の Nature ハイライト
天文学:大質量で月程度の大きさの白色矮星
宇宙物理学:宇宙の原子時計
材料科学:遷移金属ジカルコゲニドにおける電子固体
生態学:渡り鳥が植物の気候変動への追従を助ける可能性は限定的である
ゲノミクス:体細胞変異を用いたヒトの初期発生の追跡
微生物学:微生物相を標的とした代謝疾患の治療
コロナウイルス:単一細胞レベルで見たCOVID-19
染色体生物学:高分解能で見るクロマチンの接触