Nature ハイライト

生態:熱帯林の知られざる普遍的な真実

Nature 438, 7068

種数と個体数の関係に関するデータを新たに数理解析した研究から、世界各地の熱帯林で見られる高木の多様性パターンは、単純な1組の理論を使って説明できることが明らかになった。熱帯林はみな、種数ー個体数関係のパターンが似通っているが、これを2つの単純な理論で説明できるというのだ。  J Banavarたちは、新・旧世界の6箇所の熱帯林で得られている高木種の種数ー個体数関係のデータを調べた。熱帯林では、種の普遍性・希少性の関係に驚くほど一致したパターンが見られる。たとえば、非常に個体数の多い種の数はごくわずかで、個体数がほどほどの種は多数あり、個体数の非常に少ない種はやはり相対的にごくわずかとなる傾向がある。  今週号に掲載されている報告によると、個体数の少ない種が中程度の個体数の種よりずっと数が少ない理由は、2種類の異なる機構のどちらによっても説明できる。1つの理論では、個体数の少ない種の数が非常に少ないのは、こうした種が絶滅によって姿を消しやすいからだと考える。逆の考え方では、こうした種が希少なのは、新しい種がいったん森林に定着すると、その種は短期間で急速に繁殖し、もっと個体数の多い分類枠に格上げされてしまうせいなのかもしれないとされている。Banavarたちは、こうした2つの競合する説明のどちらが真実かを判定するには、対象とする森林について単に種数ー個体数関係のデータを解析するだけでは不十分だとも述べている。

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