Nature ハイライト

疫学:口蹄疫の芽をつみ取る

Nature 440, 7080

運搬や供給量に制限のあるワクチンを使って口蹄疫(FMD)の流行を封じ込めるには、どんな方法が最も効果的だろうか。新しい研究によれば、感染が報告された順番は無視し、感染が報告されるたびに、その場所に最も近い農場でワクチン接種を行うのがよいらしい。  M Keelingたちは、英国での2001年のFMD発生時に集めたデータを使って疫学的モデルを構築し、「輪状」のワクチン接種によってFMDの発生を抑えるのに、最も効果的に備蓄ワクチンを使う方法を探った。  個別対応式ワクチン接種は、効率のよい殺処分や動物の移動制限と組み合わせれば、FMDと闘う強力な手段となり、ほかの局所的に伝播する病原体の場合にも有効かもしれないと彼らは結論している。報告された感染すべてについて、感染地域から最短距離にある農場のワクチン接種を優先的に行うという戦略は、接種地域の半径を固定する従来の接種対策よりずっと効果的だった。この方法では、ワクチン接種を行う円状地域の最適規模を決定しなくて済む。    2001年のFMD流行時には、ワクチン接種は実施されなかった。英国環境・食糧・農村地域省(DEFRA)による2004年のFMD非常事態対策では、個別対応式ワクチン接種はFMD制圧に好適な手段であるとみなしているが、このようなプログラムに対する明細な計画は示されていない。

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