Nature ハイライト 宇宙:タイタンのメタンはどこから来る 2006年3月2日 Nature 440, 7080 土星の衛星であるタイタンのメタン供給源は、メタンを豊富に含むような、ある種の氷にしまい込まれているのかもしれない。G Tobieたちは、クラスレート・ハイドレートとよばれるこういう氷が硬い表面となって、アンモニアを含んだ液体の水の海を覆っていると推定している。 タイタンにはメタンの豊富な大気が存在する。また、液体によって浸食されたと思われる壮大な景観があることも昨年明らかになった。カッシーニ探査機では、結局のところタイタン表面に大量の液体メタンが存在しないことがわかり、大気中のメタンがどこから来たのかは明らかになっていない。メタンは光化学反応によって数千万年の時間スケールで壊れるので、タイタン形成時のメタンが現在まで残っているはずはなく、かなり定期的に供給されていると考えられる。 Tobieたちは、クラスレートでできた氷の殻のあちこちが火山活動によって時々暖められ、これが大気中にメタンが放出される原因になっているのかもしれないと言う。タイタン表面に見られる河川状の地形からすると、これらの噴火によって、表面に液体メタンの流れが一時的にできた可能性がある。 もしこれが正しいとすると、今後行われるタイタンの探査計画において、氷の下にあると思われる液体の水とアンモニアの混ざった海が見つかるだろうとTobieたちは述べている。 2006年3月2日号の Nature ハイライト 考古:ペルーにおけるトウモロコシ栽培の始まり 宇宙:タイタンのメタンはどこから来る 医学:鳥インフルエンザの対策は十分? 地球:スマトラ-アンダマン地震を解剖する 疫学:口蹄疫の芽をつみ取る 生態:中立説に合わなかったサンゴの分布 目次へ戻る