Nature ハイライト

物理:ぎりぎり安全なシリコン薄片

Nature 439, 7077

マイクロエレクトロニクスの未来にとって朗報だ。M Lagallyたちによれば、シリコンの膜は、薄くなるにしたがってその電気伝導性を失うというわけではないらしい。彼らは、最も薄いシリコン板でできた電子デバイスでも、正しく機能すると結論している。  これら極薄のシリコン板は、絶縁性の二酸化シリコン(シリカ)の厚いスラブ上に導電性シリコン薄膜を重ねた、いわゆるシリコン・オン・インシュレーター(SOI)技術において、ますます多用されるようになっている。マイクロエレクトロニクスの最先端を行くSOIデバイスは、特性改善のためにシリコン薄膜をより薄くしなければならないことが多い。しかし、極端に薄い膜では、シリコンとシリカの界面の欠陥が電流の担い手である可動性の荷電粒子(電荷担体)を捕獲し、デバイス内を電流が通過しにくくなることが懸念されていた。  Lagallyたちは、その心配が無用なことを示したのである。極薄シリコン層の顕微鏡観察と導電率の測定により、層の表面の原子が層の内部と相関して再配置され、これによってシリコン薄膜の残りの部分に電荷担体が供給され、導電性を保持することがわかった。

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