Nature ハイライト 宇宙:ガンマ線で見る銀河系中心での宇宙線の衝突 2006年2月9日 Nature 439, 7077 銀河系中心には巨大な水素分子の雲があり、非常に高エネルギーのガンマ線を放射して輝いている。このガンマ線は、宇宙線が分子雲に衝突していることの証拠である。 J HintonたちはHESS望遠鏡を使って、輝きの正体が原子核の破片あるいは陽子(水素原子核)の高エネルギー粒子である可能性が最も高いと推測している。これらの粒子は、銀河系内宇宙線によって非常に高い速度にまで加速されたものだ。 銀河系内宇宙線の起源は不明だが、膨張する超新星残骸が起こす衝撃波に由来していると一般に考えられている。Hintonたちは、陽子を含む宇宙線が銀河系のいたるところで最近加速されたことの直接的な証拠を初めて示し、これらの宇宙線が約1万年前に起きた超新星爆発で加速されたのではないかと推測している。 これに代わるもう1つの考え方は、銀河系中心に存在すると推定されている超大質量ブラックホール、いて座A*を、これらの宇宙線が一回りするときに加速されたとするものである。 2006年2月9日号の Nature ハイライト 進化:中国で見つかったティラノサウルス類の「鼻祖」 気候:雪の量は森林の炭素吸収能力に影響する 物理:ぎりぎり安全なシリコン薄片 生理:精子の超活性化を解明 宇宙:ガンマ線で見る銀河系中心での宇宙線の衝突 目次へ戻る