古代DNAの研究は大きく進んでいるものの、更新世後期の生物から回収できる連続した塩基配列の量はまだ限られている。マンモスや他の少数の種では約1,000塩基対の配列片が再構築されているが、種間の類縁関係を調べるとなると、これでは足りない場合が多い。今回、PCR法をベースに塩基配列オーバーラップと多重増幅法をうまく使った新しい手法により、微量の骨から長いDNA塩基配列を復元することが可能となった。この方法で、永久凍土に保存されていた更新世のケナガマンモスのわずか200 mgの骨から、ミトコンドリアゲノムの1万6,000塩基対を超える全塩基配列が復元された。この塩基配列によって、マンモスの系統発生に関する積年の議論に終止符が打たれ、ケナガマンモスはアフリカゾウよりもアジアゾウに近縁なことがわかった。 [Letter p. 724; News and Views p. 673]