Nature ハイライト
植物:植物と動物は異なる代謝則に従っている
Nature 439, 7075
生物では体の大きさに応じて代謝速度が変わるが、その変化の仕方について、あらゆる生物に当てはまる一般的な法則があるのではないかと生物学者たちは長年考えてきた。しかし、43種の植物で代謝の包括的な分析が新たに行われ、その結果、植物が動物とは異なる法則に従っていることが明らかになった。 動物界では、体重が増えれば代謝速度も上昇するが、その上がり方は直線的ではない。この関係はより複雑な「対数的」性質を持つが、それは動物体内に酸素や代謝物を届けている血管の分岐パターンに起因する。したがって、ゾウはマウスに比べると大量のエネルギーを消費するが、その量は体の大きさだけから考えられるよりも少ない。つまり、大型動物が概してゆったりと歩き回る傾向があるのに対し、小さい動物はちょこちょことせわしなく生活している。研究者たちは、植物も同じような法則に従っているのではないかと考えていた。しかし、P Reichたちは今週号の論文で、植物の代謝速度は、動物とは異なり直線的な関係に従っていることを示している。約500本の植物で研究を行った結果、代謝速度が植物の質量に応じて上昇すること、さらに正確にいえば、植物に含まれる全窒素含量に応じて上昇することがわかった。L HedinはNews and Viewsで「この知見は植物の代謝の組み立てに関する我々の理解に問題を投げかけるものだ」と述べている。
2006年1月26日号の Nature ハイライト
医学:インフルエンザウイルスの内部構造が明らかに
数理生態学:ドル紙幣の動きを疫学に活かす
化学:秩序と無秩序の間に位置する金属
宇宙:遠くをまわる小さな惑星
植物:植物と動物は異なる代謝則に従っている