Nature ハイライト 気候:マラリア流行を予測する 2006年2月2日 Nature 439, 7076 気候予測用のコンピューターモデルのおかげで、マラリアの流行開始を最も早ければその5か月前から予測することができそうだ。 「流行性の」マラリアは世界の全患者数に占める割合は小さいが、地域レベルでみれば重要であり、「地方病性」の発病者数と死者数をかなり増大させている。 気候はマラリア原虫の成長と媒介する蚊の行動の推進力となる。そこでT Palmerたちは、気候データを用いてマラリアの発生確率が異常に高く、あるいは低くなる可能性を予測するシステムを構築した。そしてこのモデルを用いて、ボツワナで1982年から2002年までに発生したマラリアの流行について、時間を遡って予測することに成功した。 以前の研究により、降雨と海面水温をモニターすることでマラリアの流行最盛期をその1か月前から予測できることが立証されている。今回、さらに4か月早く予測できる可能性が示されたことで、著者らは、将来は殺虫剤の散布をより効果的に行ったり、薬剤の備蓄をよりよく管理できたりするようになるのではないかと考えている。 この「DEMETER」というシステムはまた、2006年のWMO Gerbier-Mumm International Awardを受賞している。 2006年2月2日号の Nature ハイライト 宇宙:冥王星より大きかった「10番目の惑星」 気候:マラリア流行を予測する 神経:昆虫の記憶を担う脳細胞が見つかる 細胞:DNA複製の秘密が明らかに 化学:触媒の反応表面を調べる 目次へ戻る