Nature ハイライト 雪氷:明らかになった南極域の配管システム 2006年4月20日 Nature 440, 7087 南極氷床の表面下にある湖は、氷の下にはりめぐらされた配管網によって相互につながっているらしい。 東南極の氷床下の湖を衛星により調査していたM Siegertたちは、氷底湖上の氷表面が3メートルほど下がり、一方、そこから約290キロメートル離れた別の2つの氷底湖では表面が隆起していることに気づいた。このような氷面の隆起は、厚さ3キロメートルの氷床の下を約1.8立方キロメートルの水が16か月かけて流れたとすると説明できるのではないかと彼らは考えている。この流れは、最も流量の多いときでロンドンのテムズ川の流量の約4分の3に相当する。 これまで、南極域のこのような氷底湖は比較的孤立して古くから存在していたと考えられていた。しかしSiegertたちは、これらの湖では水圧の上昇に応じて水がどっと流れる現象が定期的に起こっていたのかもしれないと論じている。場合によっては、こうした流れが湖の水をはるばる南極大陸沿岸まで運び、湖の水は海に排出されているのかもしれない。氷底湖の間でこのような水の急速な移動が起こっているとすれば、個々の湖に孤立した生態系が存在する見込みは小さくなり、掘削によって1つの湖が汚染されるとそれが周囲に拡大してしまう可能性がある。 2006年4月20日号の Nature ハイライト 雪氷:明らかになった南極域の配管システム 医学:薬剤への応答を代謝の表現型から予測 気候:気候感度はそれほど鋭敏ではないらしい 進化:協力行動はどうやって社会に出現・定着したか 宇宙:あの光の起源を探る 目次へ戻る