Nature ハイライト 考古:猫のミイラの作り方 2004年9月16日 Nature 431, 7006 古代エジプト人は、人間のミイラ作りの複雑な方法を編み出したのにとどまらず、ペットのミイラまで同じくらい丁寧に作っていたらしい。これは、爬虫類、鳥類、哺乳類(特に猫)などの動物のミイラが数百万個を超える数見つかっている事実を考えれば意外である。この膨大な数からすると、動物は簡単に包帯で包んで樹脂に浸して保存したと考えてもよさそうである。しかし実際はそうではなかった。多くの動物が神聖な存在とみなされ、そのためきわめて丁重に扱われていたとR Evershedたちは報告している。過去に人間のミイラを対象とした研究(Nature 413, 837-841; 2001)で用いられた化学的な分析法を動物のミイラにも使ったところ、内臓が摘出されて入念に包帯が巻かれた後に、蜜蝋から瀝青に至るさまざまな化学物質で処理されていたことがわかった。つまり、ペットのミイラも飼い主の人間と同じ処理方法で作られていたことになる。だとしたら、女神バステトの象徴であるキティちゃんたちにとっては、庭の木の根元に埋められるより幸せだったはずだ。 2004年9月16日号の Nature ハイライト 考古:猫のミイラの作り方 材料:ナノチューブの小さなギター ゲノミクス:ようこそ、5番染色体 進化:人類に「幼児期」が誕生する前の幼児 遺伝:漢文化の拡散 目次へ戻る