Nature ハイライト 動物:神経細胞からクローンマウスを作る 2004年3月4日 Nature 428, 6978 新しいタイプのクローンマウスが誕生した。このマウスは、成熟した嗅神経細胞(匂いの処理にかかわる神経細胞)から取ったDNAを使って作られた。R Jaenischたちは、核を除去したマウスの卵細胞に嗅神経細胞由来のDNAを注入した。この方法は核移植とよばれる。生じた胚を発生させたところ、繁殖力を持つ成体クローンマウスが得られた。このマウスには、匂いに関連するタンパク質が全種類そろっていたが、これは非常に興味深い知見である。DNAを提供した嗅神経細胞が発現している匂い関連タンパク質は1種類だけで、全種類が発現されるわけではないからである。これまでのクローン動物は、皮膚細胞などのように分裂を続けている細胞から取ったDNAを使って作られた。今回の結果は、分裂をやめた成熟細胞でも、再プログラム化によって、正常な発生に必要な遺伝子を全種類発現できるようになることを示している。 2004年3月4日号の Nature ハイライト 動物行動:アリさんとアリさんがこっつんこ 植物科学:葉の表と裏ができる仕組み 物理:さらに原子は冷やされる 気候:極域海洋の冷たいふた 物理:超伝導の転移温度のなぞ 動物:神経細胞からクローンマウスを作る 目次へ戻る