Nature ハイライト 物理:さらに原子は冷やされる 2004年3月4日 Nature 428, 6978 原子を冷やす新しい方法が見つかった。この方法は、非古典的な物理現象を利用してより高速での情報処理を目指す量子計算の開発にとって重要となりそうだ。G Rempeたちはレーザー光を使って、ルビジウム原子1個を光共振器中に保持した。次に、2番目のレーザー光を使い、この光が共振器を脱出するとき原子のエネルギーを少しだけ持ち去ることを利用してルビジウムを冷却した。この方法は従来のやり方より1個の原子を少なくとも5倍も速く冷却できる。従来型のレーザー冷却の研究は1997年にノーベル賞を獲得した。この方法ではまずレーザー光の一撃によって原子が励起され、次に原子が元の状態へ緩和するとき、原子は光をランダムな方向に放出する。あいにく、この過程によって原子が持っている量子情報の一部が破壊されてしまう。Rempeは、今回の「共振器冷却」が原子の量子状態を保持できる点で独創的であると主張している。 2004年3月4日号の Nature ハイライト 動物行動:アリさんとアリさんがこっつんこ 植物科学:葉の表と裏ができる仕組み 物理:さらに原子は冷やされる 気候:極域海洋の冷たいふた 物理:超伝導の転移温度のなぞ 動物:神経細胞からクローンマウスを作る 目次へ戻る