Nature ハイライト 薬学:新しい抗トリパノソーマ薬 2010年4月1日 Nature 464, 7289 アフリカトリパノソーマ症つまり睡眠病は、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei spp.)によって引き起こされ、年間の死者数はおよそ3万人に上る。使える治療法はわずかしかなく、有効性や安全性が十分でない薬剤が使われることが多い。N-ミリストイルトランスフェラーゼ(NMT)は、多くの真核生物や微生物のタンパク質のN末端グリシンにミリストイル基を付加する酵素で、トリパノソーマ症などの寄生虫病の治療薬の標的となる可能性が示唆されている。ただし、それは、ヒトのNMTは保護されるような選択性が達成できればの話である。新しい研究によって、ブルーストリパノソーマのNMTが抗トリパノソーマ薬のタンパク質標的となる可能性が立証され、また、薬剤のような特性をもつ強力な阻害剤が見つかった。その化合物DDD85646は、マウスモデルで血流中のブルーストリパノソーマを死滅させる。 2010年4月1日号の Nature ハイライト 物理:目に見える量子力学 遺伝:公表された大規模なCNVデータセット 細胞:明らかになった細胞分裂遺伝子たち 薬学:新しい抗トリパノソーマ薬 地球:ヤンガードライアス期の洪水の跡をたどる 気候:冷たい太陽 生理:体重と代謝率の関係を見直す 目次へ戻る