農業が独自に芽生えたと考えられている地域は世界中に少なくとも6ヶ所あり、そのうちの1つが北米東部とされるが、本当にそうなのだろうか。カボチャとアカザ(Chenopodium)という2種類の主要な栽培植物については北米東部が起源という見方が疑わしくなってきており、ヒマワリ(Helianthus)だけが、この地域で農業が生まれたことを示す唯一の証拠となっている。ところが、およそ4,000年前のメキシコに、栽培化されたヒマワリがあったことを示す証拠が出てきて、このヒマワリの北米東部起源説もあやしくなってきた。そこで今回A V Harterたちは、米国東部でヒマワリが栽培化されたことを改めて立証している。著者らが米国とメキシコの各地から集めた現存する栽培化された諸系統と野生個体群とを遺伝学的に解析したところ、少なくとも現在の栽培化されたヒマワリは北米東部で生まれたことがわかったのだ。