Nature ハイライト

顕微鏡法:分子1個を見る

Nature 466, 7306

光学顕微鏡の分解能は、回折限界によって入射光の波長の約半分に制限される。だが、電荷結合素子(CCD)を用いて、目的の生体分子に結合させた蛍光プローブ分子を追跡すれば、この回折限界は回避することができる。この手法では、単一分子の画像化の限界を下げる、つまり、分子内距離を回折限界の200 nmからもっと近い20 nmまで短縮できる。今回S Chuたちは、このCCD蛍光技術の改良版により、従来の遠視野蛍光画像化システムを使って、ナノメートル以下の精度で距離を分解している。入射光子に対するCCDシリコンアレイの不均一な応答(チップ製造の際の人為的影響かもしれない)を補償するのには、フィードバックシステムが使われた。これを行わないと、互いの距離が数ナノメートルの範囲内にある点を表すピクセルが不鮮明になる。この分解能によって、多数のタンパク質からなる大型複合体である生体物質の成分の特徴を調べることができるようになるかもしれない。また、この方法は、やはりデジタルカメラを使っているナノテクノロジーや天文測定でも、同じような改良が行われるきっかけになりそうだ。

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