Nature ハイライト 医学:糖尿病にかかわる生物時計 2010年7月29日 Nature 466, 7306 摂食時には膵島がインスリンを分泌してグルコースの恒常性を維持するが、糖尿病患者ではこの律動的な過程に障害が生じている。マウスを用いた実験から、膵島は独自の生物時計をもち、睡眠–覚醒サイクルにインスリン分泌を協調させていることが今回明らかにされた。この過程には、転写因子CLOCKおよびBMAL1が極めて重要な役割を果たしており、ClockおよびBmal1遺伝子に欠陥のあるマウスは、低インスリン血症および糖尿病を発症する。この研究は、膵β細胞で局所組織の時計が概日リズムと代謝シグナルを統合していることを立証しており、概日リズムの解析が、代謝性疾患の解明をさらに進めるのにも、また2型糖尿病のような代謝性疾患の治療にも極めて重要であることを示唆している。 2010年7月29日号の Nature ハイライト 宇宙:太陽系探求の歴史 環境:減少する植物プランクトン 量子情報科学:光子3つの量子もつれ 地球:ニューマドリッド地震活動 進化:性染色体のダイナミックな進化 医学:糖尿病にかかわる生物時計 細胞:パーキンソン病でのマイクロRNAの働き 遺伝:新種の低分子RNA 顕微鏡法:分子1個を見る 目次へ戻る