Nature ハイライト

化学:視覚の高速光化学

Nature 467, 7314

視覚における初期光化学反応、つまりロドプシンの11-cis発色団が全trans型へと異性化する反応は、既知の天然光化学過程のうちで最速のものの1つであり、1兆分の1秒もかからない反応である。このような高速反応は、以前は実験でとらえることができなかったのだが、今回Polliたちは、20フェムト秒未満の時間分解能と可視から近赤外にわたるスペクトル範囲の超高速分光法を用いて、反応の特性評価を行ったことを報告している。ロドプシンの極めて高い反応性は、分子の基底状態と励起状態のポテンシャルエネルギー面の円錐交差として知られる分子ファネル機構に起因すると考えられている。今回新たに得られたスペクトルデータから、円錐交差が視覚を開始させる反応の基盤であることが確認された。

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