Nature ハイライト

気候:1970年代に起こった海水温の予想外の低下

Nature 467, 7314

全球平均温度は20世紀を通して継続的に上昇していたわけではなかった。実際は、20世紀初めから1940年代にかけて上昇し、20世紀中ごろにいくぶん低下し、1970年代中ごろから2000年代にかけて急激に上昇していたのである。20世紀中ごろの寒冷化は、一般的には硫酸塩エアロゾル生産量が最大に達したことへの応答、あるいは気候の自然変動として解釈されてきた。今回、D Thompsonたちは、1970年ごろの海面水温(SST)の急激な変化によって北半球寒冷化のかなりの部分が説明可能であることを示している。Thompsonたちは以前に、1945年を中心とした海面水温測定値の異常を突き止め(go.nature.com/16G48A)、これがデータ収集法の変更によって生じた人為的な結果であることを明らかにした。この発見により、近年作成された、全球平均温度の時系列データが部分的に大きく修正された。この新たに明らかにされた1970年代の変化の基盤となった物理機構はまだわかっていないが、エアロゾルあるいは数十年規模の気候変動に起因したとするには急激すぎる変化である。

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