Nature ハイライト
Cover Story:マラリアの起源:ヒトのマラリア原虫の起源は類人猿にまでさかのぼる
Nature 467, 7314
ヒトに感染するマラリア原虫の中で罹患率と致死性が最も高い熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)の進化的起源については、盛んな議論が行われている。今回、アフリカの野生類人猿から採取した数千点の糞便試料の遺伝学的分析により、チンパンジーやボノボではなく、ニシゴリラがもつマラリア原虫がヒトのマラリア原虫に最も近縁であることが明らかになった。このデータはまた、ヒトの現生マラリア原虫系統がすべて単回の宿主転移事象から進化したことも示唆している。この新たな知見は、類人猿がPlasmodiumの保持供給源である可能性を示すものとして、現在の抗マラリア対策にもかかわってくる(Article p.420, N&V p.404)。
2010年9月23日号の Nature ハイライト
細胞:低分子RNAが移動する仕組み
医学:競争力のある腸病原体
細胞:幹細胞の状態を制御するメディエーターとコヒーシン
物理:ナノスケール・コンピューター・トモグラフィー
化学:視覚の高速光化学
気候:1970年代に起こった海水温の予想外の低下
地球:弱い断層と地震の不安定性
生態:個体群が終末に近づくとき